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国立科学博物館・地球館編

02 19 *2011 | ■ミュージアム::日本

前回に引き続き国立科学博物館です。
今回は地球館。
地球館では地球上に住む生物全般を扱っています。


ファイル 9-4.jpg
ジュラシックパーク!

ファイル 9-1.jpg
絶滅の危機にひんしている動物の展示。
残念ながら名前を失念してしまいましたが
この手のぽてぽて感、たまらぬ……

ファイル 9-2.jpg
オオカミさんスマイル。
ここでは大型動物の剥製が大量に展示されているのですが、
どれも表情やしぐさに味があってとても面白いです。
陸上の生物でもびっくりするくらいでかい牛とか馬とかがいて、
パンダや虎が小さく見えたな~


面白かったのが、
「熱帯雨林の一本の木には、一体何匹の虫が生息しているか?」という展示。
単に数や種類を書きだすのではなく、
なんと実際に一本の木から採取された大小さまざまな虫を
パネル一面にびっっっっしり並べて展示しているんです。
ただ言葉で説明するよりも、
どれだけ多くの生物の住処となっているかということが
一目で理解できるようになっています。

基本的に、ここの博物館にはあまり説明がありません。
単に文字で知識を教え込むのではなく、
様々な展示方法で五感を刺激し、
興味を持ってくれた人が帰ってから自分で調べてもらえるよう
工夫していると感じました。

ファイル 9-3.jpg
もちろん太古の生物の化石類も充実。
三葉虫カッコイイ!!!!


ファイル 9-5.jpg
巨大な展示は上空に。
こうすることで省スペースになると同時に
360度使ったダイナミックな展示となっています。


また地球館には、分類学上の生物全ての標本を並べている
コーナーがあるのですが、
そこの哺乳類のとなりに、「人類」と書かれた標本があり、
空になっています。
実はこれには仕掛けがあり、その空の標本箱は鏡になっていて、
覗きこんだ自分の姿が映るという仕組み。
これらの生物や、博物館の展示品全てが、
他者ではなく自分たちと関わり合っていて、
私たち人間も地球の生態系の一部なんだというメッセージが
伝わってくるようでした。

また科博の展示を見ていて感じたのが、
キャプションには基本的に
「幼児向け」易しい言葉で、ヒントを与える
「中学生程度向け」大まかな展示の趣旨を説明・問題提起
「大人向け」細かい資料の解説・学術用語もあり
三つの種類があるようでした。
このなかで特に真ん中の、中学生くらい向けのキャプションは
問いをなげかけつつも、明確な答えは出していない、という事に気付きました。

現代の科学技術の展示コーナーの導入部のキャプションを引用します。
21世紀、これからの科学技術に求められるもの
かつて人類はそれぞれの地で、自然との共生を
巧みに図る知恵と技と高めた。
それらはやがて風土を越えて交わり体系化され、
普遍性を持つ科学技術となって、今日、
豊かで便利な生活を支えている。
他方で地球環境を脅かすものになりうるなど、
科学技術の負の側面も明らかになった。

21世紀の科学技術には何が求められているのか。
未来を展望するカギは、これまでの歩みの中に隠されているかもしれない。

このように、「科学技術には負の側面もある」といいながら、
それが具体的にどのことを指すのかは明言していません。
今後の展望も、答えは示さず、
展示を見て自分で考えてほしい、という博物館側の意図が見えます。


ここ数十年で、博物館や美術館の在り方は大きく変わりました。
それまでの、研究者や学芸員が知識を与え、それを学ぶ、という展示から
観る者の興味を引き出し、共に考える展示に移行しつつあります。
そのことが、この国立科学博物館の展示では非常に明確に感じられました。


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